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こんな時どうする? ~成年後見制度の活用~
親が認知症になり、施設入所が決まりました。その入所費用に充てようと、親の定期預金を解約するため銀行へ行ったところ、窓口で「本人か後見人でなければ手続きはできません。」と言われました。 Q.このような時はどんな解決方法がありますか?A.親が名義人である以上、子でも解約はできません。ところが、名義人が認知症によって判断できない状態ですから、本人に代わって法律上の行為をする必要があります。そこで、成年後見制度により法的な支援者である成年後見人等を決めるという方法があります。 この相談の場合、成年後見人等が本人に代わって定期預金を解約することができます。 Q.制度を使うとほかにも何か変わりますか?A. 成年後見人等が本人に代わって、預金の払い出し等の財産管理をしたり、介護サービスの利用契約を結ぶ時等、必要とされるサービスの契約を行うことができるようになります。 ただし、本人にとって必要と思われる行為だったかどうか、毎年、家庭裁判所による厳密な監督が行われます。そのため、判断能力が低下しても、本人の財産や生活が守られることとなります。 -
こんな時どうする? ~成年後見制度の種類~
私は一人暮らしですが、今は自分一人でお金の管理も生活もできています。しかし、将来認知症になった時のことが心配です。 Q.成年後見制度は判断能力が低下してからでなければ使えないのですか?A.成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。「法定後見制度」はすでに判断能力が不十分になった人を支援する制度です。今回の相談のように、今は一人で大丈夫だけれど、将来判断能力が不十分になった時のことが心配という場合、事前に支援者を決めておく「任意後見制度」が活用できます。 Q.「任意後見制度」を使うには、どのような手続きが必要なのですか?A.「誰に」「どのような支援をしてもらうか」という内容を決めた契約の公正証書を、公証役場で作成する必要があります。この契約をしただけで生活に変化が生じることはありません。契約の効力が生じるのは、判断能力が低下してから、親族や支援を任せる予定の人が家庭裁判所に手続きをし、支援が適切に行われているか監督する人を家庭裁判所が選んだ後です。任意後見制度に関する詳細は、当センターや公証役場にお問合せください。 -
こんな時どうする? ~判断能力が不十分とは~
最近、もの忘れが多くなったと感じており、お金の管理が心配なので成年後見制度を利用したいと思っています。 Q.判断能力が不十分な人が使える制度ということですが、判断能力とはそもそもどういう能力をいうのでしょうか。もの忘れがひどくなったという理由で制度を利用することはできますか? A.成年後見制度を利用できる場合について、法律には、判断能力が不十分な場合という文言ではなく、「精神上の障害によって事理を弁識する能力がなくなったり、低下したことが必要である」と書いています。「もの忘れがひどい」だけでは、成年後見制度は利用できません。 自分がこうしたら、自分にどんなことが起きるか?どんな責任を負うのか?などを理解、判断できる力をいいます。例えば、100万円の羽毛布団を買う契約書に印鑑を押した人に、100万円を支払わなければならないことを「理解する力」、その羽毛布団が必要であることなどを「判断する力」のこと、あるいは、自宅を他人に無料で譲るという契約書に印鑑を押した人に、その結果自分の住む場所がなくなり、違う場所に住む手続きをしなければならず、お金ももらえないことなどを「理解する力」のことを、事理弁識能力といいます。 よって、事理弁識能力の有無は、ただ記憶力の有無だけで判断されるのではなく、日常の会話力や、日常生活上の理解力、必要性の判断力などを総合的に判断して、家庭裁判所により決められます。 -
こんな時どうする? ~成年後見制度の手続き~
親の判断能力が認知症によって低下したため、親の財産管理をきちんと行っていく成年後見人等を決めようと、兄弟で話し合いました。その結果、自分が手続きを行うことになりました。 Q.成年後見制度の手続きはどこで、どのように行えばいいのでしょうか?市成年後見センターでできますか? A.手続きは、本人(判断能力が低下した人)が居住する地の家庭裁判所で行います。 手続きの大まかな流れは、?必要な書類を揃えて家庭裁判所に提出する、?家庭裁判所の調査官による調査、?審判(成年後見人等の決定等)となります。その他、手続きに関することを以下の表に記載したのでご覧ください。手続きができる人・本人・配偶者・4親等内の親族(親、子、孫、兄弟姉妹等)・地方自治体の長 等手続きにかかる費用・収入印紙800円(手続きの際の手数料、場合により追加が必要)・収入印紙2,600円(法務局に登記される際の手数料)・郵便切手3,860円(揃える金種が指定されています。4,490円になる場合もあります。)・その他、戸籍等の取得手数料や診断書の費用等がかかります。用意する書類〇書式が用意されているもの(書式は当センターや家庭裁判所にあります。)・申立書・財産目録・登記されていないことの証明書・成年後見用診断書・本人に関する質問票 等〇本人の財産内容を証明する資料の写し・預金通帳・株式、国債等を有していれば、それに関する取引残高報告書・生命保険等に加入していれば、保険証等・借金があれば、ローン契約書又は借用書及び返済明細書・不動産があれば、登記事項証明書・収入内容を証明する資料(給与明細書、年金証書、年金改定の通知書、年金の振込口座の通帳等)・支出内容を証明する資料(施設利用料、入院費等の領収書、健康保険料納付書、介護保険料納付書、固定資産税納付書、地代や家賃などの領収書等) 等〇その他・住民票や戸籍謄本・療育手帳の写し、精神障碍者保健福祉手帳の写し 等当センターでは、家庭裁判所に提出する書式をお渡しできるほか、手続きについての詳しい説明や助言をいたします。お気軽にご相談ください。 -
こんな時どうする? ~成年後見人等には誰がなれるか~
精神に障害がある姉がいるのですが、悪質な訪問販売に狙われているようです。姉の財産をきちんと管理し、不要な契約等を結ばないように、妹である自分が成年後見人等になろうと考えています。 Q.成年後見人等になるには何か資格が必要でしょうか。候補者は必ず成年後見人等になれますか。 A.今回のご相談の場合、特に問題がなければ、妹さんが成年後見人等になることができます。特別な資格は必要ありません。しかし、以下に挙げる人は成年後見人等になることができません。?未成年者、?成年後見人等を解任された人、?破産者、?本人に対して訴訟を行ったことがある人 また、?~?に該当していなくても、候補者が必ず選任されるわけではありません。成年後見人等は、本人の心身の状態や、財産状況、候補者と本人との関係等、家庭裁判所が様々なことを総合的に判断し、決定します。例えば、親族間で本人の支援の方針等をめぐり意見が対立している場合や、本人に多くの財産がある場合等には、第三者の専門職(弁護士や司法書士、社会福祉士等)が成年後見人等に選任されることもあります。 平成26年の成年後見制度に関する統計では、親族が成年後見人等に選任された割合が35%、弁護士や司法書士等の専門職が選任された割合が65%でした。 -
こんな時どうする? ~身内がいない~
成年後見制度を利用するには、本人又はその配偶者、4親等内の親族が家庭裁判所に手続きしなければならないと聞きました。私は、配偶者に先立たれ、親も子もなく、兄弟もいないため親族がいません。 Q.判断能力が低下して制度の利用が必要になった時、自分で手続きができなかった場合は誰が手 続きをしてくれるのでしょうか。A.手続きができる親族がおらず、自分や配偶者でも手続きすることができないという場合には、 首長(久留米市の場合は市長)が家庭裁判所に手続きできる「首長申立て」という制度がありま す。ただし、首長申立ては、「その福祉を図るため特に必要があると認めるとき」と判断される 場合に限られます。 首長申立ての前に、4親等内の親族が本当にいないか、もう一度確認してください。4親等内 の親族とは、いとこ、自分や配偶者の甥姪、孫の配偶者等、広範囲に及びます。 親族以外の第三者に信頼できる人(友人や弁護士・司法書士等の専門家)がいるのであれば、 判断能力が低下する前にその人と公正証書にて任意後見契約を結ぶという方法もあります。任意 後見契約を結んでおけば、判断能力が低下した場合に契約を結んだ人(任意後見人)が家庭裁判 所に手続きをして、あらかじめ契約で定めた活動を行うことができます。 頼れる親族がいない中で生活していくことは、不安なことも多々あると思いますが、地域では 一人暮らしの高齢者に対する訪問があるようですし、地域で行われている行事に参加することで 人との繋がりができ、そのようなところから困った時の支援に結びついていくのではないかとも 思います。 また、任意後見制度でわからないことがあれば、成年後見センターにご相談ください。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
成年後見人って、どんなことをするの
家庭裁判所から選任された成年後見人は、本人の代わりに契約をしたり、財産の管理などの支援を行うと聞きました。成年後見人は普段、どのようなことをしているのですか? Q.成年後見人の主な仕事というのは、本人の財産管理だけですか?また、そのお仕事は、いつ まで続くのですか?A.成年後見人の行う仕事は、大きく分けると「財産管理」と「身上監護」です。「財産管理」と 「身上監護」とは、本人が生活していく上で密接に関連しています。病院で診療を受けたり、デ イケアに通ったり、介護施設に入所したり、買い物をしたり、ヘルパーさんを頼んだりなど、本 人が生活をしていく上で、日々の需要を満たす必要があります。 しかし、本人には物事の判断をする力が不足していますので、成年後見人が本人に代わってこ れらの契約をしなければなりません。また、そのために必要な本人のお金を代わりに支払わなけ ればなりません。それのみならず、本人に代わって本人の財産も管理しなければなりません。 成年後見人は、定期的な収支状況の管理とそれらを正確に把握するために、ご自宅や施設・病 院の入所・入院先へ定期的かつ継続的に訪問し、本人の状況に変更がないか「見守り」を行いま す。 本人が亡くなると、その時点で後見は終了します。後見人は管理していた財産等を相続人へ引 き継いで、任務が終了します。 ※本人が亡くなると、後見する対象が無くなりますので、「法定」後見のみならず、「任意」後 見も「後見」の範囲で終了するでしょう。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
家庭裁判所から選任された成年後見人等に支払う報酬について教えてください
Q.財産管理や身上監護を行う成年後見人等には、報酬を支払わなければならないと聞きました。 成年後見人等に支払う報酬額の目安はだいたいどれくらいで、誰が決めるのですか?A.成年後見人等は、被後見人等の身上監護や財産管理を行った状況報告を家庭裁判所に年に1回 の定期報告をしなくてはなりません。成年後見人等は、後見事務を行ったことへの報酬請求とし て、家庭裁判所へ報酬付与を申立てることができます。その申立てにより、家庭裁判所が審判で 報酬額を決定します。成年後見人等は、審判に基づいて被後見人等の財産の中から報酬を受け取 ります。 報酬額は、被後見人等の財産額や行った後見事務の内容などによって異なります。 一部の裁判所が公表している報酬額の目安では、通常の後見事務を行った場合は月額2万円程 度、事務内容に特別困難な事情があった場合は相当額の報酬が付与されることもあるなどとされ ています。 また、被後見人等の経済的な理由により、後見人等へ報酬が支払れない場合、市区町村によっ ては「成年後見制度利用支援事業」として、費用の全部または一部を助成する事業を行っていま す。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
家庭裁判所に後見等の申立てを行なったのですが、取り下げることはできますか?
Q.認知症で判断能力が不十分なため、日常生活を送るのが困難になっている両親の後見等の申立 てを家庭裁判所に行いました。その後、他の兄弟や親戚たちから、申立てを取り下げてほしいと いう相談を受けました。申立てを取り下げることは可能ですか?A.後見開始の申立ては、審判がされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ取り下げる ことができません。これは、申立人の都合により、認知症等で判断能力のない本人の保護が図ら れなくなるという事態を回避するためでもあります。後見開始の申立てを取り下げるためには、 法的に妥当な理由を明らかにする必要があります。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
成年後見人等には、本人を守るためにどのような権限がありますか?
Q.認知症や知的・精神障害により判断能力が不十分な人たちが、適切な介護サービス等を受ける ため必要な契約を結ぶことができなかったり、不適切な高額な買い物をしてしまった場合、成年 後見人等は、本人をどのように守っていくのですか?A.家庭裁判所の後見開始等の審判が確定し、成年後見人等として選定された後は、代理権と同意 権・取消権という権限を有することになります。認知症や知的・精神障害により判断能力が不十 分な人たちが、その人らしく生活していく援助をするため、本人の意思を代弁したり、本人のな すべき法律行為(介護サービスを受けたり、施設に入所したり、必要なものを買ったり等の約束 をすること)を本人に代わって実施するための権限です。 成年後見人には、財産に関するすべての法律行為(保佐人・補助人には、申立の範囲内で家庭裁 判所が定める特定の法律行為)に代理権が付与されますし、日常生活に関する行為以外の行為(保佐人には民法13条1項所定の行為、補助人には申立の範囲内で家庭裁判所が定める特定の法律 行為)に同意権と同意なしでした行為の取消権が付与されます。また、本人のために、医療・介 護・リハビリ等に関する契約もします。 民法13条1項に定める行為(1)貸金の元本の返済を受けること。(2)金銭を借り入れたり、保証人になること。(3)不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。(4)民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。(5)贈与すること、和解・仲裁契約をすること。(6)相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。(7)贈与・寄贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や寄贈を受けること。(8)新築・改築・増築や大修繕をすること。(9)一定の期間を超える賃貸借契約をすること。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
成年後見制度の利用にデメリットはありませんか?
Q.成年後見制度を利用すると戸籍に載ることや、何か社会的な不都合がでてくるのではないです か?A.成年後見制度が制定される前の禁治産制度では、その旨が戸籍に記載されることがありました が、成年後見制度ではそのようなことはありません。その代わりに法務局に登記(※)されて本 人や成年後見人等から請求があれば登記事項証明書が発行されます。 また、以前は選挙権を喪失することがありましたが、平成25年に公職選挙法等の一部改正があ り、被後見人等になっても選挙権を喪失することはなくなりました。ただし、株式会社の取締役 や監査役に就任できないこと、弁護士・公認会計士・医師などの専門職務を行えないこと等の資 格制限は発生します。 ※登記・・・この場合、後見人は誰であるか、被後見人等が誰であるか等を証明するための手 続きです。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
申立てをする場合の注意点はありますか?~パート1~
Q.成年後見制度の申立てを検討しています。実際に申立てをする際に気をつけておいた方がいい ことがあれば教えてください。A.申立ての際に後見人等の候補者を親族にしようと考えられている場合、必ずしも希望した候補 者が後見人等になれるとは限らないということです。家庭裁判所は本人の状態や環境等を統合的 に判断して選任しますので、第三者の専門職が選任されることがあります。そして、一度後見人 等が選任されると、被後見人等が死亡するまで後見人の業務は継続します。原則、中途での解任 ・辞任はできず、家庭裁判所に申出て許可を得た場合のみとされています。 成年後見制度は本人(判断が不十分な方)を法律的に保護し支えるための制度です。もし成年 後見制度でお悩みの方や申立てを検討されている方等がいらっしゃいましたら、センターでは手 続きの説明や助言などを行っておりますので、お気軽にご相談ください。 (次号も、申立てをする場合の注意点についてお答えします。) 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
申立てをする場合の注意点はありますか?~パート2~
Q.成年後見制度の申立てを検討しています。実際に申立てをする際に気をつけておいた方がいい ことがあれば教えてください。A.前号に引き続き申立てに際しての注意点についてお答えします。 遺産分割協議の際に、法定相続人が認知症のため話し合いができず、成年後見制度を検討され る場合、その遺産分割協議は法定相続分を確保するものでなければなりません。具体的には、制 度を利用して後見人等が選任された場合、後見人等は「本人の財産保護」を第一に考えますの で、被後見人等(※)が不利になるような協議を認めることはできません(なお、後見人等が選 任される前に遺言が作成されていない場合)。 本人の財産保護の点で他に注意点をあげると、管理の基本は安全確保であるため、投資・投機 的な運用は避けなければなりませんし、疑問や不安がある支出においては事前に家庭裁判所に相 談する必要があります。 成年後見制度は本人(判断が不十分な方)を法律的に保護し支えるための制度です。もし成年 後見制度でお悩みの方や申立てを検討されている方等がいらっしゃいましたら、センターでは手 続きの説明や助言などを行っておりますので、お気軽にご相談ください。 ※被後見人等:後見人等をつけようとしている本人のことです 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
成年後見人が変更することはありますか?
Q.親の成年後見人をしていますが、成年後見人が変更することはあるのでしょうか。A.通常は本人が死亡するか判断能力が回復するまで業務は継続しますが、後見人等が変更する 場合として解任と辞任があげられます。解任の場合、後見人等に不正な行為(※1)、著しい 不行跡(※2)、その他後見の任務に適しない事由(※3)があった際、本人・本人の親族・後見 監督人・家庭裁判所の職権などによって後見人解任の審判をして解任されることがあります。 また、辞任については、家庭裁判所に申し出て許可をされた場合に辞任できることがあります。 自らの都合で自由に辞任することはできず、辞任が認められる例としては、後見人等が病気や 高齢になることや、遠隔地へ転居して職務を行うことが難しくなった場合などに限られます。 ※1:本人の財産を横領するなどの違法な行為 ※2:品行がはなはだしく悪い ※3:後見人の権限を乱用したり、不適当な方法で財産を管理したり、任務を怠ったりした場合 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
専門職の方が親の成年後見人として選任されました。今後はこの方が親の面倒を全てみてくれるのでしょうか。
Q.専門職の方が親の成年後見人として選任されました。今後はこの方が親の面倒を全てみてくれ るのでしょうか。A.成年後見人の業務は大きく分けて「財産管理」と「身上監護」の二つになります。財産管理と は、不動産・現金・預金通帳などの財産を本人に代わって安全に管理し、年金の受け取りや入院 費用や施設の利用料の支払いなどを行うことです。身上監護とは、介護サービスの利用、病院へ の入院、施設への入所などに必要な契約を行う「法律行為としての身上監護」を行うことで、食 事や排泄の介助、清掃、病院の付き添いなどの「事実行為としての身上監護」は成年後見人の職 務の範囲外とされています。この他、成年後見人は、医療行為への同意、身元保証人等になるこ ともできません。このように、成年後見人が選任されてもご本人の全てを担うわけではなく、家 族・親族や関係者の方々の協力を求めることがあります。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
親族間で申立てするかどうか意見が分かれていますが、そのような場合でも申立てをすることは可能でしょうか。
Q.親族間で申立てするかどうか意見が分かれていますが、そのような場合でも申立てをすること は可能でしょうか。A.結論から申し上げると意見が分かれていても申立ては可能です。申立て書類の中に親族の同意 書というものがありますが、申立て時に必ず提出しなければならないわけではありません。同意 書は家庭裁判所が親族の意見を参考にするもので、準備をすることで手続きが比較的速やかに進 行します。同意書を準備する親族の範囲は、本人が亡くなられた場合に相続人となる方です。入 院中や施設へ入所中の場合や、これまでの経緯から同意書を得ることが難しい場合がありますの で、そのような時は無理に用意する必要はありません。 成年後見制度は本人の権利を守る制度です。親族の意見を一致させることは大切ですが、意見 が分かれている場合は、本人のことを第一に考えて申立てを検討してください。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
本人が施設に入っていて、親族は全員他県にいます。その場合でも後見等の申し立ては可能でしょうか。
Q.本人が施設に入っていて、親族は全員他県にいます。そのよう場合でも後見等の申し立ては可能でしょうか。A.親族が近隣にいなくても申し立ては可能です。申し立てをする家庭裁判所は原則として本人の「生活の本拠地」(日常生活をしている所)を管轄する家庭裁判所となります。今回の場合は、施設を管轄する家庭裁判所に申し立てをすることになります。なお、どの家庭裁判所に申し立てればよいかわからない場合は、近くの家庭裁判所にお尋ねください。 申し立て書類は各家庭裁判所で準備していますが、インターネットからもダウンロードできます。しかし、家庭裁判所によって書式が違う場合がありますので、管轄の家庭裁判所に確認ください。申し立て書類に不備がなければ、裁判所の職員(調査官)による本人や申立人・成年後見人等候補者との面談等が実施されます。なお、本人との面談は本人の状況によって違いますが、申立人・成年後見人等、候補者との面談は必ず実施されますので、家庭裁判所の呼出があると申立人や候補者として記載される方は家庭裁判所に出向く必要があります。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
父親が死亡し、遺産相続をしたいと思っています。しかし、相続人の一人である母親が認知症のため遺産分割の話ができません。娘の私が後見人になれば遺産分割がすることができますか?
Q.父親が死亡し遺産相続をしたいと思っています。しかし、相続人の一人である母親が認知症のため遺産分割の話ができません。娘の私が後見人になれば遺産分割することができますか?A.母親に成年後見人が選任された場合、後見人がご本人の代理として遺産分割協議に応じることになります。遺産分割協議においては、ご本人の権利を守るため、原則として法定相続分を確保する必要があります。勝手に相続放棄をしたり、不当に少ない取り分で協議に応じたりすることは基本的に許されません。(遺言が作成されていない場合)ただし、相続人の一人である子どもが母親の後見人に選ばれた場合には、どちらも相続人であるため、ご本人と後見人との利益が相反してしまいますので、後見人はご本人の代理をすることができません。そのような場合、家庭裁判所に「特別代理人選任」という申立てをして、遺産分割協議におけるご本人の代理人を決める必要があります。その後、特別代理人は遺産分割協議が終了すれば業務は終了します。しかし、後見人の業務は申立てのきっかけとなった課題が解決した後も、ご本人の判断能力が回復するか死亡するまで続きます。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は事前予約が必要です。【問合わせ】市成年後見センター(市社会福祉協議会内) ? 0942-30-2732 -
成年後見制度の申立てをしようと考えていますが、書式の一部変更があったと聞きました。具体的にはどのような点が変わったのですか?
Q. 成年後見制度の申立てをしようと考えていますが、書式の一部変更があったと聞きました。具体的にはどのような点が変わったのですか? A. 平成31年4月より「診断書」の書式が改定され、新たに「本人情報シート」が導入されました。診断書については、今まで同様、医師に作成していただくものですが、更に本人の生活状況や必要な支援の状況等の情報も踏まえて、医学的判断を的確に表現できるように改定されました。その本人の生活状況等を客観的に伝える方法として、診断書の参考資料に「本人情報シート」が導入されました。本人情報シートはご本人に関わっている福祉関係者が作成されることを想定しており、親族や本人が作成することは想定していませんので、本人及び親族の方の場合には、申立書に本人の生活状況等を記載していただくことになります。なお、「本人情報シート」は提出が必須ではありませんが、この他にも制度利用の適否に関する資料や、成年後見人等の選任のための資料としても活用されることが期待されています。 相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。 ※弁護士相談は予約が必要です。【問合せ】 市成年後見センター(市社会福祉協議会内) TEL 0942・30・2732 FAX 0942・34・3090 -
老後のことが心配で任意後見制度を検討していますが、注意点はありますか?
Q.老後のことが心配で任意後見制度を検討していますが、注意点はありますか?A.任意後見制度は後見制度を利用しようと思っている人とその人から依頼を受けて後見人になろうとする人との間の契約ですが、その契約はご本人が健康なときに締結しますので、その契約に自分の希望を盛り込むことができる点では優れています。しかし、ご本人が他人に騙されて物を買ったりしても、任意後見人はそれが本人に不利だと考えても、法律上その取消ができません。他には、任意後見制度は報酬額を自由に決めることが可能です。ただし、親族が任意後見人となる場合は無報酬の場合が多く、第三者がなった場合には報酬が発生することが一般的です。また、任意後見監督人にも報酬が発生しますので、二者に対して報酬を払う必要があります。注意点を挙げましたが、どちらが優れているというわけではありません。任意後見制度・法定後見制度どちらもご本人の生活や権利を守り、地域で安心して暮らしていくことを支援する制度です。ご本人の状態や状況に応じてどちらの制度を利用したほうがいいのかを検討されてください。相談時間 月曜~金曜 8時30分~17時15分 (土・日・祝日・年末年始はお休みです。) 相談は無料です。※弁護士相談は予約が必要です。【問合せ】 市後見センター (市社会福祉協議会内) TEL 0942・30・2732 FAX 0942・34・3090